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七重の山

 トマス・マートンというカトリックの司祭・修道士の自叙伝『七重の山』(中央出版)を読みはじめている。
 この『七重の山』は1948年(たぶん)にアメリカで出版され、200万部売れたベストセラーである。彼自身の生い立ちから青年期のカトリックへの回心が綴られたもので、いまだにアメリカでは評価が高い本らしい。
 私の好きなヘンリー・ナウエンもしばしば言及している作家で、以前から読みたいと思っていたのだけど、日本語版は、とっくの昔に絶版。このつど、amazonで中古が入手できた。
 本の到着をものすごく楽しみにしていたのだけど、いざ読み始めてみると、これがベストセラーになったとはとても信じられない。良くも悪くも文学的な自叙伝で、まずもって、分厚い。ある意味、退屈といえば退屈。彼の幼少期を過ごしたアメリカ、フランス、イギリスの印象深い風景が丁重に描写されている。彼は詩人でもあり、この描写はたしかに印象的ではある。印象的ではあるけど、こんなプラグマティズムのカケラもない、冗長な本がベストセラーというのは解せない。こういう本が売れた第二次世界大戦後のアメリカってどんな雰囲気だったのかなあと改めて思いを馳せたりした。プロテスタントの原理主義が主導する現代とはまたぜんぜん違っていたのだろうか。

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