« 返送 | トップページ | ぬか床君 »

徒労のかずをかぞえるな

 おととい、昨日と新横浜出張。今日の午前中帰阪。昼ごろ、ずっーとサボっていた歯医者に行き、午後はなんだか疲れてしまってぐたーとしていた。

 辺見庸の『自分自身への審問』を読み終える。少し前に読んだ『いまここに在ることの恥』と合わせて辺見庸健在というか、それ以上に激しい感じが増した印象を持った。二年前に脳出血で倒れ、その後、癌も発見されて手術をした著者の叩きつけるようなというより呻きのようなメッセージ。
 書中、中村稔の詩「鵜原抄」から<物言うな、/かさねてきた徒労のかずをかぞえるな/肉眼が見わけうるよりもさらに/事物をして分明に在らしめるため>が引用されていた。
 辺見庸自身が、これまで吼え、激しく書き、糾弾してきた世界はあらゆる方向で、さらに辺見庸が望まぬ方向に向かっている。右半身に麻痺の残る状態で、みずからの「徒労のかず」と生と精神のありようについて沈思する文章には、思想信条主義主張を超えて揺さぶられるものがある。
 自分自身はこの妙に明るく崩壊にむかっている国の中で、どれだけ<肉眼がみわけるよりもさらに事物をして分明に在らしめる>ことができるか。

|

« 返送 | トップページ | ぬか床君 »

「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/66828/11920108

この記事へのトラックバック一覧です: 徒労のかずをかぞえるな:

« 返送 | トップページ | ぬか床君 »