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格調なんて・・・

 ひさしぶりに更新・・・。ずっと夏風邪状態であります。
 今朝、新聞(毎日)を開いたら、<今週の本棚>のトップに岡野弘彦の歌集『バグダット燃ゆ』の丸谷才一による評が載っててびっくりした。毎日新聞は最近とりはじめたので、読書欄の傾向はよく知らないけど、歌集がこんなに大々的に取り上げられることって、よくあるのだろうか?
 しかし丸谷才一の評をぱらぱらと読み、引用されている歌を読むに、つくづく岡野弘彦の歌というのは、おそらくおおかたの世間の人がいまだに「短歌とはこういうものだ」と漠然と思っている、その思いにもっとも近い短歌だろうな、と思う。良くも悪くも。
 「古典主義的な格調の高さ」と丸谷は書いているがほんとにそうか?

 めざしくゆく北の荒野は 草萌えのまだ遠からむ。つつがなくゆけ
 特攻機つらねゆきたるわが友の まぼろし見ゆる。天(あめ)のたづむら
 日本の 黄砂ににごる空のはて むごき戦(いくさ)を人はたたかふ

 これらの歌に私は格調の高さより、発想の平凡さ、言葉のつたなさを感じてしまう。「北の荒野」なんてあまりに無造作な使いかただし、二首目も「天のたづむら」という<いかにも短歌っぽい>表現で平凡さを丸め込んでいるように感じる。三首目などは、一字空けの効果がまったく感じられないし、むしろ、一字空けに情緒的に寄りかかった甘えた歌になっている。歌集を読んだわけではないので、あくまでも引用歌の印象なのだけど。

 東京を焼きほろぼしし戦火いま イスラムの民にふたたび迫る
 ひらひらと手をふりて笑う大統領。そのひと振りに 人多く死す

 この二首はそんなに悪くはないと思うけど、上記の黄砂の歌も含めて、戦争へ対する視線は平凡。
 平凡な発想、ありがちなことあげを、<いかにもな>短歌的表現で、うやうやしく差し出すとき、これまで短歌はもっとも危険な方向に人を(大衆を、といってもいいかもしれないが)先導してきた。その原形を見るような思いがした。格調なんてくだらない。

 
 


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