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2005年7月26日 (火)

うちつけに地にさすあかりはごろもを着ればすなはち消ゆるこころよ

        『なよたけ拾遺』
 はごろも、などという言葉が出てきたら、もうすっかり「物語」で、子供の頃に読んだ絵本の天女の絵か何かを思い出して、なんだか少し面映いような感覚も持つ。

 ただ、<消ゆるこころ>という言葉にはたいそう引かれる。
 こころは、「地」のものである。「天」にかえるとき、それは消えてしまう。
 この地上での、かけがえのないよろこびも、血を吐くような思いも、すべてすべて、かき消えてしまう。
 月に帰る「物語」の主人公でなくとも、人間とて、そのこころははかない。
 すべてこの世の中のこと。
 いつかかき消えてしまうこころなのに、なぜ人はそのこころゆえに捕らわれて苦しむのか。
 はごろもをもたぬ地の人のこころを地にさすあかりは照らす。 

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